粋(イキ)の基本的意味は異性関係にあり、それは媚態と意気地と諦めという三つの契機からなっている。<媚態>とは、異性の征服をめざして接近しながらも、精神的合一をあえて拒否し、異性との緊張関係を持続させることによって生じる<色っぽさ>のことである。粋(イキ)の基調をなす。この媚態に一層磨きをかけたものが意気地と諦めである。<意気地>とは、異性にもたれかからない<心の強み>としての<張り>のことであり、その起源は武士道の<道徳的理想主義>にあるという。また<諦め>とは、異性との別離を、運命としていつでも甘受しうる、執着を離脱した「あっさり、すっきり、洒落たる心持ち」のことであり、その起源は仏教の<宗教的非現実性>にあるという。